Story

森と暮らす、静かな時間

季節の移ろいを感じる、木の道具の物語

工房は、山あいの小さな村にあります。朝は鳥の声で目を覚まし、窓を開けると森の匂いが流れ込んでくる。 そんな場所で、私たちは毎日木と向き合っています。季節ごとに変わる森の表情は、道具の色や形にも静かに影響を与えています。

使う木は、近くの山の手入れで切り出された間伐材が中心です。伐ったあとは十分に乾燥させ、木の反りや癖を見きわめてから加工に入ります。 急がずに、木の時間に合わせること。それが、狂いの少ない道具をつくるための、いちばんの近道だと考えています。

仕上げには、植物由来のオイルを何度も薄く重ねています。使い始めは淡い色をしていますが、手に触れ、光を浴びるうちに、少しずつ深い飴色へと変わっていきます。 その変化を楽しんでいただくことも、私たちの道具の大切な一部です。

森で育った木が道具になり、誰かの暮らしの中で時を重ねていく。私たちは、その長い物語の途中に立ち会っているにすぎません。 これからも森と暮らしの間に立ち、静かな時間を届ける道具をつくり続けていきます。